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第3回交流会【レポート】アバター実証環境活用の可能性(10/12開催)

サイバネティックアバター※による誰もが自在に活躍できる社会(アバター共生社会)の実現に向けて、第3回の情報交流会が開催されました。
今回は「アバターを活用した実証ができる環境とその活用方法」がテーマでした。

※遠隔操作ができる「身代わりロボット」

PROGRAMプログラム

10月12日(水)開催

  • 16:00~ :ご挨拶
  • 16:05~ :インキュベーション施設IGNISでのアバタ活用
  • 16:40~ :バーチャル大阪を活用したマーケティング実証環境
  • 17:15~ :芝浦工業大学ベイエリア・オープンイノベーションセンター内のアバタ実証環境
  • 17:45~ :アバタを活用した実証環境の活用方法とその可能性

REPORTレポート

インキュベーション施設IGNISでのアバタ活用

株式会社ツクリエ IGNISマネージャー 北山 剛 氏
株式会社idscope 代表取締役 細江 裕二 氏

ムーンショットプロジェクトのCA基盤を活用した、実証実験事例を紹介いただきました。

  • インキュベーション施設でのアバタ活用に関する技術紹介
  • それら技術の活用方法
  • アバタ実証実験でのIGNISの活用方法

idscope社は、新規事業のコンサルティングを行う一方で、自社の新規事業のサービスを立ち上げも行っている企業です。
本コンソーシアムのIT分科会の幹事企業を務めており、IoTやロボットなどの基礎技術を使った新しいサービスができないかを模索しています。

・実施場所

IGNISは、株式会社ツクリエが運営する東京都認定のインキュベーション施設。
CAを活用した民間事業者やスタートアップベンチャーが集う場所として、拠点候補地の中から選定し、今回の実証拠点として協力をいただいた背景がある。

東京・水道橋のコワーキングスペース&シェアオフィス IGNIS
https://ignis-tokyo.com

・実証概要
  • CA操作者の環境:専用ブース
  • CA操作者の状況:適した操作方法
  • CAの種類:実機CA(場所固定)
  • CAサービス提供場所:広域・単地点

技術構成は、民間事業を見据えてクラウドサーバーを用い、オペレーター1人が、アバター3体を同時に扱うCA基盤システムを使って運用を試しました。

東京・大阪・京都の3地点の受付カウンターにアバターを設置。東京からアバターを遠隔操作し、3地点の受付業務(来訪者との対話、受付票・タグ受渡し)を実施しました。

インキュベーション施設IGNISでのアバタ活用_スライド

インキュベーション施設IGNISでのアバタ活用_スライド

IGNISスタッフ側の意見として、
北山氏「アバター設置により、ワーキングスペースの雰囲気も変わり良かった。遠隔操作も、スムーズにコミュニケーションが取れたように思う。 受付業務だけでなく、起業のメンタリングなど他の業務でもアバターを使えそうなシーンがあると思う。」と語っていました。

・今後の実証展開

細江氏「今後は同一環境で、複数の操作者は色々な場所から操作し、アバター側は、固定型、移動型、CGエージェントなど、高性能なアバターを使う実証を行う予定。民間サービスで使っていくような検証を模索していきたい。」と話していました。

バーチャル大阪を活用したマーケティング実証環境のご紹介

株式会社 博報堂 関西支社 マーケットデザインビジネス推進局
アクティベーションディレクター
宮原 広志 氏

都市連動型メタバース「バーチャル大阪」を活用した、企業様との取り組み/イベントの事例をもとに、リアル⇄バーチャル連動型エクスペリエンスの手法と可能性について紹介しました。

・バーチャル大阪とは

KDDI社、博報堂社、吉本興業社が母体となる「未来大阪プロジェクト」が運営する大阪府公認のバーチャルプラットフォーム。2021年12月に始動。
リアルな大阪と連動しし、アーティストによるライブやトークショー、アート展示などオンラインイベントなどを開催することが可能で、随時コンテンツのアップデートを進めている。
大阪府と協業し、新しい都市サービスの実証実験なども模索している。

宮原氏「完全な仮想空間ではなく、バーチャルで盛り上がったものが、リアルに還元される。またはその逆の良循環を期待している。」

メタバース内でのパブリックビューイングや、Vチューバーライブ配信の事例を紹介しました。

メタバースの企画を提案する際に、必ず「YouTubeと何が違うのか」という質問が挙がるそうです。それに対して宮原氏は「サッカー観戦等と同様に、1人で試合を観るのと大勢が集まって一体感を持って観るのとでは、体験価値が全然違う。メタバースでは後者のような体験ができるのが特長です。」と話していました。

「芝浦工業大学ベイエリア・オープンイノベーションセンター内のアバタ実証環境」

芝浦工業大学工学部電気電子学群電気工学科教授
アバター共生社会PJ研究開発項目5-3(CAおよびCA基盤標準化)課題推進者
吉見 卓 氏

芝浦工業大学豊洲キャンパスの新棟内に、10月1日からベイエリア・オープンイノベーションセンター産学官連携ラボが設置されました。
吉見氏の研究室はその中で、アバターおよびその標準構成システムの評価検証を行う実証環境を構築しました。

実機デモを交えて、新設した実証環境を紹介しました。

ディスカッション
「アバタを活用した実証環境の活用方法とその可能性」

後半は、パネリストとして本講演の登壇者に宮下氏を加え、ディスカッションを行いました。
ファシリテーターはidscope社 細江氏が務めました。

「仮想空間における、人の拡張機能としてのアバターの可能性」について質問したところ、吉見氏から「仮想空間で芸人が漫才を披露したが、リアルと違ってアバターでは表情がずっと変わらない。もしくはパターン化されている。動作は出来るが感情のアウトプットがまだまだ追いついていない。」という意見がでました。
「表情が豊かなアバターが接客やアテンドをすると、空間内の体験価値がもっと上がるのではないかと思う。」とも話していました。

また、「人に近い方がコミュニケーションを取りやすいのか?」という質問については、吉見氏が「個人的にはロボットは人間に近い方が親しみやすいし良いと思う。一方で、介護の下の世話は、ロボットっぽい方がいい。機械だと割り切れる方が精神的負担なく頼めるからという意見もあり、内容によるのかもしれないと思う。」

さいごに
情報交流会も3回目を迎えました。
今回は、アバターがビジネスシーンでどのように使われるのか、使われているのか等、実際の実証事例を伝えました。少しでも活用のヒントになれば幸いです。

アバターが人の拡張機能となり多くの社会参加方法の選択肢を増やしていく。その礎となることを目指し、今後も活動内容を発信していきます。

情報交流会は定期的に実施しています。

情報をキャッチしたい方は、iRooBOセミナー・イベントページでチェックしてください。

https://iroobo.jp/event/

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<参考>
ムーンショット型研究開発事業
「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」

https://avatar-ss.org/index.html

株式会社ツクリエ
https://tsucrea.com/

東京・水道橋のコワーキングスペース&シェアオフィス IGNIS
https://ignis-tokyo.com/

株式会社idscope
https://idscope.jp/

芝浦工業大学 電気工学科 ロボットタスク・システム研究室
https://www.shibaura-it.ac.jp/faculty/engineering/electrical/lab/takashi_yoshimi.html